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トランシーバー(transceiver)とは、無線電波の送信機能と受信機能を兼ね備えた無線機または回路ブロックである。TRX と略される。送信機を表す transmitter と受信機を表す receiver とを合わせた造語である。一般的に、送信機と受信機は、回路に共通した部分が多いため、共用できる回路を共用し、一つの機器として作られたものである。 なお、無線にあまり関心のない人の間では、「片手で持って使う携帯型無線機」がトランシーバーである、と誤解されている場合が多い。しかし、上記のように送信機と受信機を一体化したものがトランシーバーであるため、「据え置き型の無線機」もトランシーバーの一種である。また、英語のtransceiverは携帯型でないものも含み、日本でも無線従事者や無線機メーカーの間では携帯型に限らず、無線機全般に使われている。広辞苑では第4版までは「携帯用無線通話機」との誤った語釈だったが、第5版からは訂正されている。
形状による分類トランシーバーは形状、大きさにより、次のように分類できる。
電波型式トランシーバーには、用途により、CW、AM、FM、SSB、RTTYなど多くの電波型式をサポートした機種や、単一の電波型式のみをサポートした機種がある。業務無線の場合は単一の電波形式であることが多い。 周波数の設定複数の周波数を送受信できるトランシーバーでは、いくつかの方法で送受信の周波数を切り替えることができる。また、複数の周波数帯を切り替えて送受信することができるトランシーバーでは、周波数帯を切り替えるバンドスイッチが用意されている。 メインダイアルメインダイアルは、周波数を連続的に切り替えることができる。メインダイアルを回すことにより、古くはVFO、最近はPLLシンセサイザ方式により可変周波数発振回路の周波数を操作する。SSB方式では周波数を数十Hzの精度で設定しないと良好な音声受信ができないため、微調整しやすいように大径のつまみ(ダイヤルノブ)が採用されることが多い。超短波帯以上の周波数を使用する業務用無線機には、メインダイアルは付いていない。 セレクタスイッチセレクタスイッチ(チャンネル切替スイッチ)により、送受信する周波数を飛び飛びの値に切り替えることができる。業務用無線機ではセレクタスイッチとは言わず、チャネル切替スイッチと言う。FMで通信するアマチュア無線用トランシーバや、CB無線機などはこの方法である。セレクタスイッチにより、PLLシンセサイザの発振周波数を切り替える、あるいは発振回路の定数の異なる水晶振動子や、定数の異なるコイルまたはコンデンサを切り替えることにより周波数を変える。PLL方式の場合は周波数設定を、回転スイッチだけでなく、UP/DOWNボタンや周波数の各桁ごとに設けたスイッチで設定することもできる。 水晶振動子の差し替えソケットに、希望する送受信周波数を発振する水晶振動子を差し替えることで、周波数を変える。1960年代には、50MHz帯以上で周波数が安定したVFOを自作不可能なアマチュア無線家は、やむなく水晶方式で固定送信周波数の運用を行っていた。 クラリファイア通信中に相手局の周波数が変動した場合に、それに合わせて自局の周波数も変化させると正常な通信ができなくなる可能性がある。そのため、送信周波数はそのままで受信周波数のみを変化させる回路があり、クラリファイアと呼ばれる。八重洲無線がこの呼称を使用しているのに対し、ケンウッドとアイコムではRIT(Receiving Incremental Tuning)と呼称。また送信周波数に対して同様の作用をする回路はXIT(Transmission Incremental Tuning)と呼んでいる。 スプリット送信と受信で異なる周波数を用いる方式をスプリットと呼ぶ。アマチュア無線の場合は、1局のCQ呼出しに多数の局が応答する交信において呼出側が受信する周波数の範囲を指定して識別をしやすくする場合、各国の法制度上電波を発射出来る周波数帯が違う場合(例:7MHz帯はアメリカと諸外国で電話バンドの位置が大幅に違う。2009年から統一される予定)などに用いられる。送受信で異なる周波数帯を用いる交信はクロスバンドと呼び、双方向同時(全二重)通話などに用いられる。業務無線において、送信と受信で異なる周波数を用いる運用方式の場合は、最初からその仕組みが無線機にプリセットされているか、チャネル切替スイッチと連動して切り替わるようになっており、運用者が細かく操作することはできない。 送受信切り替えPTTスイッチ一般的にトランシーバーは電話と異なり、同時に送信か受信のどちらかしかできない「単信式」の通信方式を用いる。これを切り替えるのがPTT(Push To Talk)スイッチである。PTTスイッチを押すと送信、放すと受信に切り替わる。 受信と送信が一体の無線機が登場する以前の送信機と受信機が別体の設備では、いくつものスイッチを操作して切り替える必要があったが、リレー一つで切り替えられるようになったのは大きな進歩であった。 PTTスイッチを使わなくてもマイクから入力された音声を感知して自動的に送受信を切り替える機構をVOX(Voice Operated Relay)と呼ぶ。 電信において電鍵をON(マーク)にした時に送信、OFF(スペース)にしたときに受信がされるよう瞬時に切り替える方式をフルブレークイン、電鍵のマークが途切れて数秒後に受信に切り替える方式をセミブレークインと呼ぶ。フルブレークインの方が瞬時に電波の状況を把握できるなどの長所があるが、大出力の送信機ほど機能の実装は難しくなる。 トランシーブ動作トランシーバーではないが、送信機と受信機とが別々にある場合、送受信切り替えスイッチで送信動作と受信動作とが切り替えられるように両者をケーブル(トランシーブ・ケーブルという)で接続し、送受信切り替えスイッチの信号を送信機と受信機とで共有し、あたかもトランシーバーのように動作させることがある。これをトランシーブ動作という。 初歩的なトランシーブ動作では、通常連続可変の受信周波数数と同じ周波数で送信機が動作できるように、キャリブレーションという操作を行う必要がある。これは次のような操作である。まず送受信切り替えスイッチで受信状態にし、受信機のメインダイアルで受信したい周波数に合わせる。次に送信機の周波数を受信機の周波数に合わせるために、受信状態のまま送信機から微弱な電波を発射して送信機からの電波が受信機で聞こえるように送信機のメインダイアルを回し、送信機の周波数が受信機の周波数と同じになるように調節する。送信機にはこの微弱な電波を発射するためにキャリブレーション・スイッチが備えられていることがある。この操作を行って初めて、あたかもトランシーバーのように同一周波数で送信・受信ができるようになる。 完全トランシーブ動作は、上記のキャリブレーション操作が不要になるように改良された機構である。これは、通常連続可変の受信周波数数と同じ周波数で送信機が動作できるよう、送受信切り替えスイッチの信号だけでなく、受信機の可変周波数発振器(VFO)の出力信号もケーブル(トランシーブ・ケーブル)などで送信機に供給することで実現されている。 受信機能詳細は受信機を参照。 ノイズブランカー自動車の点火プラグ、雷などから発生するパルス性のノイズを電気的に除去する機能である。 スケルチ無信号時のザーという耳障りな雑音を消去する機能。主にFMで使われている。 送信機能スピーチプロセッサー振幅変調の送信では、一般に音声信号の振幅の平均値が大きいほど了解度が増す。そのため音声信号の電圧の低い部分を増強することで振幅の平均値を増加させる回路をスピーチプロセッサーと呼ぶ。これにより出力は増加するが、音質は逆に低下する。また過変調が発生しやすい。 関連項目 |
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