イチョウ

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イチョウ
Ginkgo Biloba Leaves - Black Background.jpg
イチョウの葉
保全状態評価
ENDANGERED
(IUCN Red List Ver.3.1 (2001))
Status iucn3.1 EN.svg
分類
: 植物界 Plantae
: 裸子植物門 Pinophyta
: イチョウ綱 Ginkgoopsida
: イチョウ目 Ginkgoales
: イチョウ科 Ginkgoaceae
: イチョウ属 Ginkgo
: イチョウ G. biloba
学名
Ginkgo biloba L.
和名
イチョウ
英名
Ginkgo

イチョウ銀杏公孫樹、学名:Ginkgo biloba)は、裸子植物の一種。裸子植物門イチョウ綱の中で唯一の現存している種である。人為的な移植により世界中に分布しており、年平均気温が 0゜~20℃の降水量500~2000mmの地域に分布している[1]

目次

特徴

秋のイチョウ
イチョウの樹皮

中国原産の落葉高木。高さは20~30m。葉は扇形で葉脈が付け根から先端まで伸びている。また、葉の中央部が浅く割れている。針葉樹とされる場合もあるが、厳密には広葉樹にも針葉樹にも属さない。原始的な平行脈を持ち、二又分枝する。

雌雄異株であるため、雄株と雌株があり、は雌株にのみなる。雌雄の区別は葉の形でできるという俗説もあるが、植物学的には根拠がない。花期は4~5月。雌花、雄花とも葉が芽吹くと共に出てくる。実がなるには雄株の花粉による受粉が必要である。花粉は1km程度離れた雄株からでも飛散してくるという[要出典]

長寿であり、成長すると巨木になる。そのため、各地に巨木イチョウが残っている。

またイチョウは色づいた時の美しさから、東京明治神宮外苑や、大阪御堂筋の並木道など街路樹(銀杏並木)として、植えられているところも多い。アヒルの足のような形の葉は、秋には黄色黄葉し、落葉する。また、大木では枝から垂れ下がった円錐形の突起を生じる場合があり、乳イチョウなどと呼ばれる。

種子植物であるイチョウにも精子があることを世界で初めて発見したのは、日本人の平瀬作五郎東京大学)で、1896年のことである。現在、東京大学小石川植物園に発見のもととなった株が残っており、東京大学の附属施設である同園のシンボルになっている。

食用の実

銀杏として食すイチョウの種子

イチョウの実(正式には種子)は銀杏(ぎんなん、ぎんきょう)と言い、殻を割って調理される。種子は熱すると半透明の鮮やかな緑になり、彩りを兼ねて茶碗蒸しなどの具に使われたり、としても人気がある。ただ、独特の苦味と若干の臭気がある。

木自体のことも「銀杏」と書く(この場合は「イチョウ」と読み、「ぎんなん」は実を指す)。西洋語での表記 "Ginkgo" は、西洋人が「ぎんきょう」を聞こえたままに書き写したもの (Ginkyo) を誤記したものである(ただし、ヨーロッパの一部ではkgoと書いてkyoと読む地域があることから、誤りではないという説もある)。ゲーテ西東詩集にも "Ginkgo" という言葉が登場している。[2]

ギンナン(イチョウ)にも栽培品種があり、大粒晩生の藤九郎、大粒中生の久寿(久治)、大粒早生の喜平、中粒早生の金兵衛、中粒中生の栄神などが主なものとして挙げられる。

ギンナンは日本全土で生産されているが、特に愛知県中島郡祖父江町(現稲沢市)は生産量日本一である。ギンナン採取を目的としたイチョウの栽培もこの地に始まるとされるが、それは1900年前後のことと伝えられる[3]。上記の栽培品種も、多くはこの町の木から接ぎ木で広まったものである[要出典]

熟すと肉質化した外皮が異臭を放つ。異臭の主成分は酪酸ヘプタン酸である。異臭によりニホンザルネズミタヌキなどの動物は食用を忌避するが、アライグマのように平気で食べるものもいる。

ギンナン食中毒

銀杏はギンコール酸などを含み、などのようにかぶれなどの皮膚炎を引き起こす。触れてすぐには発症せず、長期間継続して実に触れ続けた結果発症した例もある[要出典]。また、食用とする種の中身にはビタミンB6の類縁体4-O-メチルピリドキシン(4-O-methylpyridoxine、MPN)が含まれている[4]が、これはビタミンB6に拮抗してビタミンB6欠乏となりGABAの生合成を阻害し、まれに痙攣などを引き起こす。大人の場合かなりの数を摂取しなければ問題はないが、1日5~6粒程度でも中毒になることがあり、特に報告数の70%程度が5歳未満の小児である[5]太平洋戦争前後に中毒報告が多く、大量に摂取したために死に至った例もある。

一方で喘息等の症状に対する鎮咳去痰作用など薬草としての効力もあり、後述の難破船に遺された銀杏も薬の原料として送られたものであると言われている[要出典]

イチョウ葉食品

ドイツでは医薬品と認められているイチョウの葉と実
  • ドイツでは、フラボノイド22~27%、テルペノイド5~7%(ビロバライド2.6~3.2%、ギンコライドA,B,C2.8~3.4%)、ギンコール酸5ppm以下の規格を満たすイチョウ葉エキス医薬品として認証されており[6]、日本においても(財)日本健康・栄養食品協会が同様の基準を設けている[7]。しかし、同協会の認証を受けていない商品についてはそういった基準はない。なお、イチョウ葉は日本からドイツフランスへ輸出されている[8]
  • 日本では、イチョウは医薬品として認可されておらず、食品であるため効能を謳うことは出来ない。しかし、消費者に対し過大な期待を抱かせたり、薬事法で問題となるような広告も散見されるのが実態である[6]
  • 生の葉は摂取しない方が良い。また、雑誌などでイチョウ葉茶の作り方が掲載されることがあるが、これに対して国立健康・栄養研究所は「イチョウ葉を集めてきて、自分でお茶を作るという内容であり、調製したお茶にはかなり多量のギンコール酸が含まれると予想され、そのようなことは勧められません。」としている[7]
  • ギンナンと葉で薬効成分が異なる。葉の薬理効果の研究は国内大学[9]をはじめ日本国外でも行われている。
  • 国民生活センターのレポートによると、アレルギー物質であるギンコール酸、有効物質であるテルペノイド、フラボノイドの含有量には製法と原料由来の大きな差がみられる。また、「お茶として長時間煮詰めると、ドイツの医薬品規格以上のギンコール酸を摂取してしまう場合がある」とし、異常などが表れた場合は、すぐに利用を中止し医師へ相談するよう呼び掛けている[6]

有効性

数々の臨床試験において、イチョウのさまざまな有効性が報告されている[7]

  • 認知症の改善
  • 記憶改善
  • 脳機能障害の改善
  • 末梢循環障害の改善

なお、これらの臨床試験は、医薬品規格を満たすイチョウ葉エキスを用いて行われており、市場で販売されているものが、同等の効果を持つとは限らない。

副作用

イチョウに対するアレルギー反応を引き起こすことがある。医薬品規格を満たさないものの場合、アレルギー物質であるギンコール酸をより多く摂取することとなり、アレルギー反応の可能性も大きくなると思われる。また、出血傾向も認められる[6][7][10]。 まれな副作用としては、以下のようなものが報告されている。

相互作用

イチョウ葉エキスには血液の抗凝固促進作用があり、アスピリンなど抗凝固作用を持つ薬との併用には注意を要する。インスリン分泌にも影響を及ぼすため、糖尿病患者が摂取する場合は医師と相談した方がよい。また、抗うつ剤や肝臓で代謝されやすい薬(CYP2C9、CYP1A2、CYP2D6、CYP3A4の基質となる医薬品(例:ジアゼパムワルファリントリアゾラムハロペリドール))も相互作用が生じる可能性がある[11][12]。原因は明らかでないものの、トラゾドンとイチョウ葉エキスを摂取した高齢のアルツハイマー症患者が、こん睡状態に陥った例も報告されている。利尿剤との併用により、高血圧を起こしたとの報告も1例ある[10][7]

生息と伝播

真の自生地については定かでないが、現在の安徽省宣城市付近に自生していたものが、11世紀初めに当時の北宋王朝の都があった開封に移植され、広まったとする説が有力である。中国では仏教寺院などに盛んに植えられた。

したがって日本に持ち込まれたのはそれ以後のことになるが、仏教の伝来に伴って中国から移入されたと考えられる。年代には諸説あり[13]、一般には平安後期から鎌倉時代にかけてとされている。1323年に当時の寧波から日本の博多に航行中に沈没した難破船の調査において銀杏が発見されている[要出典]。現在では全国で栽培されている。

「いちょう」の名前の由来は、葉がの足に似ている事から、中国語の「鴨脚(YaJiao ヤーチャウ)」が訛った、とされる説がある。但し、中国語はもともと方言差が大きく、また、k/gの音価は中世以降大きく変化したため、「銀杏」と書いてそのまま「イー・チョウ」もしくは「イン・チョウ」のように発音する時代・地方から導入されたことも否定はできない。

現在のヨーロッパの銀杏は細菌による死滅により1693年長崎からケンペルにより再び持ち込まれたもの。18世紀にドイツをはじめヨーロッパ各地に植えられるようになった。現在はヨーロッパおよび北アメリカ、ニュージーランド、オーストラリアでも植栽される。

属名

イチョウの最初の植物的な記述は、ケンペルの『廻国奇観Amoenitatum exoticarum』(1712年)にあるGinkgo,Itsjo である。「銀杏、イチョウ」の意である。Ginkjo とすべきところを誤植によりGinkgoとなったという。しかしリンネは『Mantissa plantarum II』(1771年)にこれを引用し、Ginkgo を属名とした。Ginkgo は誤植によるから Ginkyo とすべきであるとも主張され(たとえば、Pulle(1946年)、Widder(1948年))、植物命名規則73条には誤植その他は訂正すべき旨が記されており、ケンペルの原著ではすべてのyはiを用いているから Ginkjo とすべきであることになる。しかし、Ginkgo が長年、用いられ続けている。

都道府県・市区町村等の木

都道府県の木

市の木

特別区の木

町の木

村の木

行政区の木

大学の木

かつて指定していた自治体(消滅)

画像

その他

関連項目

脚注

  1. ^ 世界におけるイチョウの分布甲子園短期大学紀要 Vol.4(19841010) pp. 1-14  十亀好雄
  2. ^ なお、銀杏をギンナンと読むのは、国語学上の連声(レンジョウ)という現象である(ギン+アン=ギンナン)。
  3. ^ 祖父江のぎんなん 稲沢市
  4. ^ ぎんなん中毒
  5. ^ 北海道医療大学薬学部 - 銀杏食中毒とは
  6. ^ a b c d イチョウ葉食品の安全性 2002年11月25日 (PDF)(国民生活センター)
  7. ^ a b c d e イチョウ葉エキスの有効性および安全性独立行政法人 国立健康・栄養研究所
  8. ^ 曽爾の天然記念物 (PDf) (国立曽爾青少年自然の家)
  9. ^ イチョウ葉エキスの薬理活性について帝京大学薬学部)
  10. ^ a b "MedlinePlus Herbs and Supplements: Ginkgo (Ginkgo biloba L.)" - National Library of Medicine
  11. ^ 健康食品 有効性 安全性 医薬品との相互作用 - 同文書院
  12. ^ 講義「食品・サプリメントと医薬品との相互作用」 (PDF) - 機関誌『ぶんせき』 2007年9月号 社団法人日本分析化学会
  13. ^ イチョウの出現と日本への伝来 真柳誠

外部リンク

ウィキメディア・コモンズ

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